ドメーヌ、クロ ド テンリュウ

銘酒その本質を人が知るには限界がある。人を喜びに導く美味さには理由があり、それを実践して物を伝える。グラスの注がれたその液体は様々に事象や変化の結果と言う事。その事象とは何か変化とは何かの結果。サイエンスとアートを織り交ぜ描いた酒質迄駆け上がる。モノづくりとは果てしないロマン。

クロドテンリュウ毎年冬の恒例。La Taille d'hiver à Saint Vincent.

冬の剪定
シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノブラン、ヴィオニエ。
真冬となり完全に樹液が止まり雨の接触のリスクが減る雪の中。伝統の中にはいろんな答えがある。

しかし、現代の化学も色んな事象を解明してくれおり、より良い手段も導いてくれている。
La macération préfermentaire à chaud (MPC) avec macération fermentaire.
これも去年の醸造から取り入れた醸造技術で本場フランスではもう古典になっている。ワイン造りの現場では多くのワイン評論雑誌や解説文献に出てこない技術や手段が数多くあり実際にはあまり一般には目に触れられないように包み隠されている。業界にいて不思議でしょうがない。暗黙の了解なのか企業秘密なのか、醸造機器の展示会など行くとありとあらゆる化学が具現化されている。意外にもBIO対称の最新機器が多い。
PMCこの手法は安全安心にワインを醸造させるのと果実味を僅かながら程度に補完する。ただしこれだけだと長期熟成は望めないので通常のMCとアッサンブラージュする。多分日本の大手蔵元はヤッテいるのだろうけど、ワインとは発酵は酵母が行う神聖なもので加工は愚かなことだ、後ろめたいこと。補糖も同じく秘密なジャンルということなのだろうか。クロドテンリュウはある程度公表します。補糖も行います。アルコール矯正の意味では未熟果をより美味しく補完するクロリオエクストリクション・ダイレクトを行う。そのための設備だ。補糖でアルコール2度とかやるなんことは絶対にない。こんな事したらバランスが崩れ不味くなりる。つい15年前まではDRCでもアルコール1%はよくやってました。f0からf1迄を速めることは非常に有益です。其の為のグルコースの添加はお約束です。ただし、PMCには行いません。f1までが爆速過ぎる。まるで車で云うと⓪-100キロを2.1秒。0-400mが5.8秒程度のような異常を示します。そうすると香りも味も単調なものになります。
新しいこと伝統的なこと。光学やシミックいろいろと用いていきます。

冬の選定が始まり、栽培というフィルードワークがスタートした。一月の更新が少なく申し訳ありませんでした。疾患による病院通いや作成する書類の多さ、中国の製造会社とのトラブルとかになかなか時間が取れませんでした。ただシャトーでは色んな酒が生まれようとしている。リキュール、ブランデー、シードル、ペティアン。色んな酒にはそれぞれのtargetがあり、その為に色んなプロセスを様々な設備を駆使して進んでいる。酒を造る時、果たしてこのやり方で正しいか正しくないかいつも葛藤の繰り返し、技術的なことではない。すべて姿勢の問題だ。淡々と物を造る。当たり前のように突き詰める。自分では評価できないので周りのプロに評価いただく。どう感じてもらえるか、突き詰めて突き詰めて、美味しさとは何かと深堀する。口に入れるビジネスで最も大切なことはおかわりだ。もう一度口に入れたいと思ってもらうこと。そうでなければ味の世界では生き残れない。そう信じていたが、どうやらそれだけでは駄目なようで、もっと高い視点で物造りをしなければならないと思うようになった。震災で色んな生き様が見えた。味や価値だけを見つめているようでは限界がある。一つ売れて幾らになるとか、全部蔵から出ていき次を造ろうと取り組むだけでは駄目じゃないかと。自分自身の鍛錬が足りない。酒を磨くよりももっと自分を磨き、自分がもっと無垢にならないと。
ここに愛すべき世界があると伝えること。一歩踏み込んでもらい美味しさだけでなく、優しさや正しさ。一雫の波紋が世界との広がりへと。様々に繋がる力を宿す物造りに挑む。命のすべてを注ぎ込む意義がある。ふと訪れたレストランでとなりテーブルにクロドテンリュウのワインが並んでいたとか。ワインのアイテムを検索すると購入したシリーズのコンセプトが面白いと書かれていたり、我々のアイテムで小さな世界が広がりひと時を楽しんでもらうためにもう一度WBLTJのコンセプトを見つめ直す。あり来たりの物はやらない。愛すべき世界につながるものへ。もうすぐ色々完成します。そしたら一般公開日も必ず設けます。

2024年がやってきました。例年のようなあいさつ文は控えさせていただきます。
クロドテンリュウの本社名古屋のワインブティック ラターシュ ジャポンでは今回の能登半島地震救済支援のチャリテイセールを行います。
#1はブシャールのル・モンラッシェ240000円を15杯取り1杯3000円で、会場での発表の赤も15杯取り1杯3000円で売り上げを全額寄付金に。
#2はプチオークションの総売り上げの10%を寄付金に。この二つを当社から支援とさせていただきます。私の個人的な超珍品や二度と買えない名品を今回チャリティということで出させていただきます。
WBLTJは大きな地震が有る度に必ずチャリティで支援しさせてもらっています。
何故なら私個人の考えでたかが地面が1m程振動するだけこんなにも大きな被害になる事大きな憤りと怒りを感じるからです。39年間ずっと全くの自己満足、自己完結型の動機ですが今回も行います。
新年のセールやティスティングご希望の方は11@wbltj.comまでご連絡ください。
また、昨年よりお問い合わせが多かったご質問でクロドテンリュウのアイテムは東京ではどこで買えるのかのご質問ですが、昨年末より新宿伊勢丹本店のお酒売り場日本ワインのコーナーで取り扱いが始まりました。どうぞそちらにてお買い求めください。

仕事納め。ワイナリーでは年をまたぐ作業が殆どなので2023年の仕事ということで区切りがつくものはあまりない。特にクロドテンリュウではクリオエクストラクション為の材料が冷凍庫に沢山控えているので限りなく続く。ふと、感じたことはワインの世界では情報の中心に居るのがソムリエと呼ばれる存在だ。その仕事は酒を飲み手と繋げる仕事だ。どのメーカーも販売関係者もソムリエという言葉を頻繁に使う。ソムリエの仕事や能力とはなんだろう、ワインの利き酒、液体の評価。どんな香りが隠れているか、どんな土壌からどんな気候で造られたワインか。これが能力を決める手段のようにコンテストでは審査される。だが疑問に思うのはこのワインがどう造られて今に至っているのか、このワインのコンディションがどうか、健全か疲れているのか、どう起こしてやるとかの能力には何故競われないのか。いま私の仕事はこのブドウをどういうワインにするか、こんなワインがあったらきっと重宝されるだろうとか。如何に目標とする個性に仕上げるかだ。例えば白ワインでも肉料理に合うタンニンを持ってより広い守備範囲のフードフレンドだったりとか、このブドウならアルコールが低くても飲みごたえあるワインに出来るとか様々だ。最近はワイン造りは科学であるとつくづく思う。アート&サイエンスとよく聞くが、アートやポエジーはグラスに注いでからで、瓶詰め迄は9割方サイエンスだ。果物のジュースの余りにも大きな変化を目の当たりにしているとその真の理を知らないと思うようには自分の思い描いたスタイルのワインに進めない。ワイン造りの根底に有るのは科学である。コレはワインだけの事ではなく酒の全てがそうだと思っている。その科学の上に積み重なるものは意味である。意味とは真の理が導いた答えでありその価値だ。その上にある高次なものに、ピラミッドの頂点にある物が巧みであり、美しさだ。コレをアートと呼ぶか、呼べるのかと聞かれたら私は限り無くNoと答える。アートとは芸術とは意味を持たない道具を使い、無から創造の産物。酒は物理的に言い切れる液体であり、口から具体的に流し込まれて消化されて行く、もし酒にアートに類似する物、若しくはそれ以上に心に響くものがあると言えば酔いだ。これは飲み手の心に大きく作用する。心に直接流されて行く。コレは音を紡ぐ音楽、色と光と形を映す絵画、言葉と意味のモザイクの詩。それ以上に心を動かす手段にもなる。造り手はその事の意味を深く知るものでなければと思う。香りを羅列される事を目的に造るのでは無い。どう喜んで貰うか、どう酔ってもらうか、そしてまた飲んでみたいと思って貰えるか。その為に畑で闘い。目に見えない微生物を操る術を学び、液体の重さに身体を痛める。時に神聖に、時に乱暴にことの理を振う。我々はことの理のしもべである。バッカスの子供でしかない。ただ、一つだけサイエンスだけで語れない、デカルトの理論だけで片付けられないダイナミズムがあり、変な神秘性があるのも事実だ。来年はより論文を読み、同業者の思いを知りたい。そして、もっとマシでもっと飲み手に喜んで貰える酔える酒を創りたい。
今年一年、クロドテンリュウに関わった全ての皆さんに感謝申し上げます。来年も半ば命懸けで酒と向き合います。皆さん良いお年をお迎え下さい。2023年12月末日

写真だけ見せられても何も分からんという声に。動画で解り易く説明。
マスカットベーリーAで実際に使ってみます。

https://www.youtube.com/shorts/_E6PhWP_tPE
ショートは貼れらなかったのでリンクで



白ワインを発酵させるにあたり、気を付けたいのはS臭と通称言われる。オフフレーヴァがあります。YANの値が適正でない。酵母を密集させてしまう。もしくは長い間ワインと接触させている。原因はブドウ果汁と酵母にあります。発酵という行為の中でこのオフフレーヴァは自然と発生します。硫黄系の匂いで硫化水素、おならの様な臭いと嫌われて当然なオフフレーヴァの代表です。特に還元状態での発酵。溶残酸素の溶け込みが浅い果汁では容易に発生する香りです。あと品種による差もあります。Sの発生しやすい品種。甲州、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、等は比較的出易く。モノテンペンを含む品種は官能では少ないといえます。
発酵という行為が要因なので原因解決できないが、抑制することはできる。窒素の測定。それと物理的に酵母を集中させた硫化水素を造らせない。つまり酵母を拡散する。かき混ぜ酵母群の塊を造らせない。勿論、バトナージュとしてのオートリザシヨン(アミノ酸の回収)とうぜんとして高機能が目的です。ワインにコクを与えます。

BTN-11
樽や目的によってかき回す速度と範囲はチェーンの長さによって調整します。樽の大きさ最大800リッターまで対応できます。
これは速度を速め、卵白によるコラージュを目的とした短めのチェーンです。すべて高耐蝕性のステンレスで。洗浄も回転パイプま目くら蓋のクランプを外しお湯を流し込みだけで完了です。
剛性の高い1.9mmのパイプを加工しています。鎖の取り付け位置は各チェーン120度として巻き上げを意味する為微妙に変化させています。今までのステレスヘラと違いチェーンなので樽底を傷めずに、樽を逆さまにしてバイオフィルムを剥がす機能も同時に設計しました。コマピッチの小さなチェーンを大量に繋げ回転させるようにも出来ています。今までに無かったものを開発していくクロドテンリュウの使命です。

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